問題文を読んでいて、難しい言葉が出てきた時に、
「ああ、この言葉聞いたことないな」
「たぶんこんな意味かな」
と考えはするものの、そのまま設問を解いて終わりにしている子、
いませんか?
授業中や家庭学習で問題を解いているときに、
文章の中で見知らぬ言葉が出てきても、
「おそらくこういう意味だろう」と自分なりに当てはめて、
その場では一応納得するものの、
結局そのまま放置してしまう子は多いように感じます。
その場では文章の内容がおおよそ理解できているように思えるため、
わざわざ意味を調べる必要性を感じにくいのかもしれません。
しかし、この小さな積み重ねが後々の語彙力や読解力に大きな差を生んでいきます。
国語の成績の伸び方は、
「知らない言葉に出会ったときの対応」でも、
変わっていくように思います。
① 知らない語彙は、まずは「推測する」
問題文の途中で分からない言葉が出てきたとき、多くの子がまず意味を推測します。
たとえば次のような文章があったとします。
「現代科学ではまだ白とも黒とも結論が下せない問題が多くあるのだが、どちらかの答えを早く得たいという人間心理に迎合するかのように、一つの事実だけを針小棒大に取り上げて白黒をつけたがるのだ。」
ここで「迎合」、「針小棒大」という語を知らなかったと仮定します。
すると、
「迎合って、合わせるってことかな」
「針小棒大って、小さいことを大げさに言う感じかな」
このように、その場では意味を仮置きしながら読み進めていきます。
ここまでは自然な読解の流れといえます。
②大事なのは「推測のあと」
しかし、ここからが大きな違いになります。
私がこれまでに様々な生徒を見てきて思ったのは、国語の成績が早く伸びる子とそうでない子の差は、
「推測したあと」の行動が違うということです。
多くの子は、推測したまま読み切って、設問を解いて終わります。
つまり、「なんとなくこういう意味だった」で終わっているのです。
しかし、成績が早く伸びる子はここで終わらず、この先があります。
何をしているかというと、問題を解き終えたあとに、
その語彙をそのままにせず、気にして、辞書や解説で確認し、正しい意味を捉えようとします。
いうなれば、「推測を正しい意味に変えるプロセス」が入るわけです。
たとえば「迎合」であれば、
「他人に気に入られるように言動を合わせること」
という正確な意味を確認し、自分の中の理解を修正し、腑に落とそうとします。
③「推測のまま」だと危険
語彙を推測しながら読むこと自体は間違いなく必要です。
しかし、普段の問題演習の時に、その推測をそのままで放置することは良くありません。
理解が曖昧なままで固定されてしまうからです。
この状態になると、本当は間違っているかもしれないのに、
「なんとなく合っているはず」という感覚だけが残ります。
さらに、一度思い込んでしまった意味は修正しにくく、次に同じ言葉に出会ったときも誤った理解のまま読んでしまいがちです。その結果、誤解が繰り返され、読解全体にも少しずつズレが生まれていきます。
実際には、正確な理解につなげることができていないのですが、
自分では理解できているつもりになってしまう点が厄介なところです。
最終的には、設問を解くときに根拠が弱くなり、
安定した得点につながりにくくなってしまいます。
④語彙への向き合い方
語彙力をつけるには、受験対策として、
語彙の問題集や単語帳に出てくるような「入試によく出る言葉」を知識として身につけることも大切です。
しかし、それと同じくらい重要なのが、
普段の問題演習で知らない言葉にどう向き合うかです。
知らない言葉が出てきたときは、推測だけで終わらせるのではなく、
正しい意味を確認し、自分の知識として定着させることが成績を伸ばすポイントです。
ただ、このような語彙への向き合い方は、一度意識しただけで身につくものではありません。
これまでの読み方が習慣になっているため、無意識のうちに同じ読み方や処理を繰り返してしまいます。
だからこそ、テストの点数だけでは改善点が見えにくく、
「なんとなくできている」、「なんとなく間違える」という状態が続きやすくなります。
そのため、普段の学習から意識的に読み方や語彙への向き合い方を修正していくことが大切です。
⑤積み重ねでしか変わらない力
知らない語彙への反応の仕方は、一見すると小さな違いに見えますが、実際には大きな差になります。
未知の語彙に出会ったときに、
意味の推測だけで終わるのか。
それとも、正しい意味を気にして調べるのか。
この小さな選択の違いが、国語の成績の伸び方を変えていくでしょう。
語彙力は、短期間に大きく伸びせるものではありません。知らない言葉に出会うたびに意味を確認し、その言葉を自分の身体を貫通させるように理解し、自分の言葉として蓄積していく。その積み重ねが、文章を短時間で理解する力や、選択肢の微妙な違いを見抜く力につながっていくのです。