「読めているはずなのに、なぜか国語の模試や実力問題だけ点が取れない」
そうした相談がよくあります。
他教科では正確に答えを出せるのに、国語になると文章の意味がうまく理解できなかったり、記述問題で何を書けばよいのか分からず悩んでしまったりするケースも少なくありません。
また、保護者の方からは、「本人は真面目に問題文を読んでいるはずなのに、なぜか点数が伸びない」、「答えを書いたつもりなのに減点されてしまう」という声も聞かれます。
実は、こうした子は、情報を取捨選択し、要点をまとめる力、つまり要約する力が不足していることが多いのです。
国語は単に「文章を読む」だけではなく、「読んだ内容を整理して理解し、伝える力」が求められます。これができないと、いくら他教科が得意でも、国語だけ点数が伸び悩むことがあります。
本稿では、「読めるのに要約ができない子」の特徴と、それをどう補うかについて、当塾の100字要約指導の観点からご紹介します。
特徴①:「重要なところ」と「重要でないところ」の見分けがつかない
全部を読もうとする子ほど、文章のすべてを大切にしようとして、結果として「何が要点か」を見失いがちです。そうすると、重要な部分に集中できず、時間配分も乱れてしまいます。
たとえば、模試の問題文を読むときに、すべての文や情報を均等に追いかけてしまい、「重要な意見」や「筆者の主張」よりも具体例や説明部分の理解に時間をかけすぎてしまうケースがあります。
こうなると、要約を書く際に「全部詰め込みたい」という気持ちが先行し、文章が長くなりすぎて、結局何を伝えたいのかがよくわからなくなってしまいます。
実際には、書かれている内容ごとに「読む速度」や「重要度」を変える必要があります。筆者の主張が出てくる部分はゆっくり読み、具体例や補足部分は軽く読む。そうした「強弱をつけた読み方」ができないと、要点を適切にまとめることはできません。
当塾の100字要約では、段落に注目しながら「どこが要点で、どこが補足か」を整理しながら読むことを練習しています。
特徴②:筆者の主張がつかめていない
本文の具体的なところばかり追ってしまい、「結局、筆者は何を言いたいのか」がつかめない子も多くいます。たとえば、環境問題をテーマにした文章を読んだ後、「プラスチックの話だった」とは言えても、「環境問題に対する筆者の立場や主張は?」と聞かれると答えられないようなケースです。主張は、国語が得意な子であればなんとなく見つけられることも多いですが、苦手な子にとっては文章の中に紛れてしまうことが多いのです。
要約では、「表面的な情報を拾う」のではなく、「筆者が何を伝えたいのか」をとらえる必要があります。この力がつくと、単なる抜き出しではなく、自分なりの理解を軸にした記述ができるようになり、記述問題での失点も減っていきます。
特徴③:読んだ内容を整理し、表現する力が足りない
ある程度読解力があるのに、「どこまで自分の言葉にしてよいか分からない」、「書き換えたら間違ってしまいそう」と不安に感じている子も少なくありません。「丸写しはダメ」と言われつつも、本文と同じ意味内容を最初から「自分の言葉」で書くのは、実はとても難しい作業です。
そこで当塾では、まずは本文中の重要な一文やフレーズをそのまま抜き出し、それらをつなぎながら100字にまとめる練習から始めます。
その際、「どこを削っていこうか?」、「似た内容は他にもあった?」と問いかけながら、重複を省いて、全体を再構成していきます。
こうした過程を通じて、本文をもとに自分なりにまとめることが少しずつできるようになってきます。「写す→削る→ 整理してつなげる」という段階を丁寧に踏みながら、記述に必要な核となる力を育てていくことが大切だと考えています。
100字要約は記述力の基礎にもなる
100字要約というのは、100字という制限があるからこそ、「どこが大事か」、「どうまとめるか」を真剣に考えなければ書けません。これによって、曖昧になりがちな主語・述語の関係、接続の明確さ、因果関係の整理などを同時に鍛えることができます。
実際、当塾の生徒からは「塾に入る前は記述が苦手で何を書いたら良いかよくわからなかったけど、100字要約を続けたら、記述問題で〇が増えて得点できるようになった!」という声も多く届いています。
100字要約は、記述問題の前の段階としても非常に有効だといえるでしょう。
まとめ
要約というのは、一朝一夕でできるようになるものではありません。文章を読み、内容を整理し、自分の言葉で要点を伝えられるようになるには、意識的な練習が必要です。
当塾では、100字要約を通じて読み取った内容を整理し、表現する練習をしています。これは記述問題だけでなく、他教科にもつながる論理的思考の土台となります。
国語だけが伸びずにお困りの方や、国語の学習で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。