こんにちは。国祐塾の川添です。
今日は女子のトップ校である南山女子中学についてみていきます。

◎進学校としての実績

偏差値は、名進研によれば64となっています。女子ではトップの偏差値です。大学受験実績は、東大、京大、大阪大に14名、名古屋大に19名が合格しています。私大に目をやると、早慶上理に計80名が合格しています。

◎国語の入試問題

200点満点で、解答時間は50分です。大問は3つで、説明文1題、物語文が1題、漢字が単独で1題出題されています。
漢字は難しいものが含まれていますので、中学受験レベルの学習+αの学習が必要です。
合格者の平均点が6割5分ありますので、ここは完答したいところです。

それでは、まず説明文の問題を中心に見ていくことにします。
2023年度の問題です。合格者平均点は130.2点、受験者平均点は109.3点でした。

◎説明文「スマホを捨てたい子どもたち(山極寿一)」

問題は問1~問9までで、
記述問題は3問(抜き出しと内容説明)ありますが、最後の問題の内容説明は時間がかかりそうです。

・問1 適語補充
空欄A・・・空欄の前に、「人間も遺伝子によってつくられた存在」とあり、空欄の後に、「人間をつくるのも遺伝情報」とあるので、イコール関係の「つまり」が答えです。

空欄B・・・空欄の前に、「飼い主がペットと100%わかりあうのは無理だ」とあり、空欄の後に、「ペットが何をしたいかわかることも多い」とあるので、逆接の「それでも」が答えです。

空欄C・・・空欄の前に、「人間は~衝動づけられたり助け合ったりします」とあり、空欄の後に、「~楽しい思いをしたり、~興奮したりする」とあるので、同類の事柄を並べる「あるいは」が答えです。

・問2 傍線部の理由
人間はなぜ海の魚にまで手を加えているのかを問われています。
魚に「まで」ということは、これより前に手を加えられて存在がいるということです。傍線部より前に探すと、栽培植物と家畜が先に手を加えられたとわかります。では、なぜこれらが手を加えられたのかというと、前の段落の最後に、「遺伝情報をいじれば、人間の抱えている問題は解決でき、人間の意のままに変えられる」とあるので、これを含む選択肢が理由です。

・問3 傍線部説明
傍線部の「そんなこと」とは何かを問われています。
まず傍線部を含む一文から、「そんなこと」のヒントを探ると、「かつては悩んでいなかったこと」で、「意識に従順ではなくなったから、悩むことになったこと」であるとわかります。それらをもとに、傍線部の直前に指示内容を探すと、【本来決してわかるはずのない感情を情報として「理解」しようとする】とあるので、ここが答えです。

・問4 傍線部についての筆者の考え
筆者はどうすれば社会性が育つと考えているのか、適切でないものを選ぶ問題です。
ここまでの内容で、信頼関係をつくるのは五感を感じられる身体であり、身体が感じたあいまいなものはあいまいにしておいていいとあるので、これらをヒントにして選択肢を考えます。

・問5 傍線部説明
傍線部とはどのようなことかと問われています。
まず、傍線部を含む一文から、「不幸な事件」とは、実際にはない信頼を、近くにいる仲間に過剰に求めるから起きる、とわかります。そして、一つ前の文に「いじめや嫉妬、暴力」とあるので、こうした言葉をヒントに(中略)以降の本文を見ていきます。すると、14段落に、「暴力をふるったり、泣き叫んだり、閉じこもったり」とあるので、ここが答えです。

・問6 文整序問題
まず、空欄の前に、「ひと昔前までは~」とあるので、エ「ところが、今は~」となり、次がオかアで悩みますが、オはエを具体的に言い換えていると捉えられるので、エ→オ→アと決まります。残りのイとウで、ウ「それは本来、~その構築された世界の中で…」という内容はイの「自分の好きな情報でつくられた世界」を指すと検討がつきますので、イ→ウと決まります。ですので、エ→オ→ア→イ→ウとなります。

・問7 脱落文挿入
脱落文を見ると、「こんなはずではなかったと思う前に…」とあるので、前に書かれている内容は良くない内容、マイナスの内容になります。そうした目線で14段落の最後をみると「わけがわからなくなって暴力をふるったり…」とあるので、ここに目をつけます。そして、15段落のはじめを見て、「そのためには」の指示内容がないことに気づき、答えが決まります。


・問8 傍線部説明
傍線部に含まれる「他者の評価」という言葉の意味を本文に追いかけていくと、傍線部より前の内容から、【自分の価値はさまざまに受け取られるものであり、いろいろな人間関係があるから自分が存続できる】とあるので、こうした内容を含む選択肢が答えです。


・問9 違いを説明する問題
波線X「相手の気持ちがわかる」と波線Y「相手を理解する」の違いを説明する問題です。

Xの「相手の気持ちがわかる」については、直後に【ただ「了解」する】こととあり、ただ了解するとは、第7段落に【相手の心を明確に知れないが了解する】とあるので、これらをまとめます。

Yの「相手を理解する」については、直線の段落に、【すべてを情報化しなくては気が済まない】とあるので、すべてを情報化して理解することとなります。そして、「情報化して理解」ということをヒントに傍線部より前の段落をみていくと、第5段落に「感情を情報として理解」とあるのでもう少し「情報」の詳しい内容を探ります。すると、知能に偏り始めた、知能だけを拡張した、知能だけて解決していこうとあるので、<すべてを情報化して、感情を無視して、知能だけで考える>という内容にすれば良いでしょう。

以上です。


本文はけっして簡単な内容ではありませんが、問題を見ると選択肢は1行程度で、中には解きやすい問題も含まれています。合格者平均点を考えると、普段から根拠をもって答えることを徹底して、ケアレスミスをしないようにする必要がありますね。
今回はここまでとします。